〈起業心理学の対象〉では「起業心理学を求めている人」を紹介しましたが、ここでは、「起業心理学が調査研究の対象とする人」を紹介します。

まず「起業したい」と考えたことの有無で分けます。

    ①「起業したい」と考えたことが有る人
    ②「起業したい」と考えたことがあるが断念した人
    ③「起業したい」と考えたことが無い人



 上記①②③は、年代別、所属階層別にそれぞれ下記のように区別します。

「高校生」「大学生」「専門学校生」「ニート」(男女別)
「就職経験の無いフリーター」(男女別・未婚既婚別)
「就職経験の有るフリーター」(男女別・未婚既婚別)
「企業の社員」(企業の規模別・勤続年数別・男女別・未婚既婚別
「国家公務員」(所属別・勤続年数別・男女別・未婚既婚別)
「地方公務員」(所属別・勤続年数別・男女別・未婚既婚別)
「定年退職者」(前職別・年金受給の有無・男女別・未婚既婚別)


 そして、上記①②③の人に、下記の項目を訊く「心理テスト」「心理アンケート」「インタビュー」を積み重ねていきます。

    a・起業したいと思った事情・動機・経緯
    b・起業したいとは思わなかった理由
    c・起業して始めたいと思ったビジネス
    d・起業を断念した理由・その自己分析
    e・起業するためにいまもやっていること・その理由

 いまの日本が抱えている「ニート」「フリーター」や「失業者」の問題を解決する方法は「職業指導」「就職斡旋」だけではありません。

 公務員が全員「起業しない人」「起業しようとは思わない人」であるとは限りません。

 定年退職者の全員が「年金が支給される」まで、とりあえずの腰掛け仕事、間に合わせ仕事があることで満足しているとは限りません。

「起業したい」という願望が少しでもあるなら、それを実現させる方向へもっていく仕組みが必要です。その仕組みや制度を創案するためにも起業心理学が役立つことを願っています。